地主のオツベルと、その仕事場に現れた白い象。オツベルは象を言いくるめ、働かせます。初めは労働を楽しんでいたが、次第に疲弊する白象。ある晩、「苦しいです、サンタマリア」と、つぶやきます。
人間の欲に痛めつけられた白象を助けるため仲間の象が押し寄せてきて…。
象の感情が画面から溢れてくるような力強いタッチと色使い。クライマックスの象の押し寄せてくる場面は圧巻です。
【プロフィール】
絵●荒井良二(あらい りょうじ)
1956年、山形県生まれ。日本大学芸術学部芸術学科卒業。
1991年に『ユックリとジョジョニ』(ほるぷ出版)で絵本デビュー。
『ルフランルフラン』(プチグラパブリッシング)で日本絵本賞、『あさになったのでまどをあけますよ』(偕成社)で産経児童出版文化賞大賞、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を受賞したほか、ボローニャ児童図書展特別賞、小学館児童出版文化賞および講談社出版文化賞絵本賞など、受賞多数。2005年には日本人として初めてのアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。
おもな絵本に『バスにのって』『スース―とネルネル』『はっぴぃさん』(以上、偕成社)、『きょうというひ』(BL出版)、『はじまりはじまり』(ブロンズ新社)、『そのつもり』『えほんのこども』(以上、講談社)、『うちゅうたまご』(イースト・プレス)など。2006年に「スキマの国のポルタ」で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞。音楽CD「どこからどこまでいつどうやって」をリリースするなど多方面で活躍。
●使用画材:オイルパステル、色鉛筆、鉛筆/用紙:水彩紙(アルシュ)
【発行日】2007年10月17日